日本は戦後70年以上が経ちました。私は祖父母から戦争の実体験を何度も聞き、その悲惨さを教えられています。同世代の方々は同じような経験を持っているのではないでしょうか。そういえば学校でも戦争体験を聞く機会があったように記憶しています。
それでも、今もなお世界では戦争のニュースが流れています。まだまだ絶えない争い……そんな中、この1年ほどで話題になった映画のひとつが、今回お話する「ひまわり」です。
映画「ひまわり」について
1970年に上映されたイタリアの映画です。ということは「同い年」なんですね。反戦映画であるということや、ウクライナが舞台になっていることなどから、今年(2022年)また話題になった作品でもあります。戦争で引き離された恋人(夫婦)にとって、「終戦」はいつなのか。それぞれの立場で、切ない物語です。
「ひまわり」の音楽
私とこの映画との出会いは、映画音楽からでした。元々受験勉強などの「お供」として映画音楽をよく聴いていた高校生の頃。物語の内容は何も知らないまま、そのテーマとして流れている曲の雰囲気に引き込まれて……今でも最も好きな曲のひとつになっています。
好きになった理由は、我ながら分からないところも多くあります。何なんでしょうかね。「曲の雰囲気」と言ってしまえばそれまでなのですが、聞いていてすっと落ち着いたというか……。
今も落ち着きたいときに聴く曲のリストに入っています。物語としては悲しいものですが、聴いていて浮かぶのは……やっぱり映画のワンシーンである、一面のひまわり畑でしょうか。
「ひまわり」の世界
実際に作品を見て、序盤から中盤にかけて思ったのは「この女性は強いな」ということでした。絶望的と思われる情報があっても諦めず探し続ける気持ちの強さは、強烈に印象に残りますね。
そして後半。戦争の混乱期といえる、この時代ならではの展開といえるのかもしれません。「自分なら」なんて選択肢を安易に作れない、もうただただ切ないですね。ひまわり畑は本当に綺麗ですが、物語を知るにつれてその「綺麗さ」が「切なさ」をより一層際立たせます。
あと、もうひとつ。冬場の過酷な気候と戦争のシーンも印象的です。
一面のひまわりは「夏になって過酷な寒さがなくなった」「戦争が終わって平和になった」といった外側の事実と、「花畑に眠る戦死者」「まだ続く、戦争がもたらした悲劇」という事実が対比されている気がします。そこでバックに流れる音楽。古い映画なので物足りない面ももちろんあるでしょうが、戦争の悲惨さは充分伝わるはずです。
楽しい気持ちで観られるものではありません。でも、一度は観てもらいたいなと思える作品です。たとえば、体力のあるときに一日二本映画を観て、その前半がこの映画で、後半に楽しい気持ちになる映画を観るとかいかがでしょうか。
ひまわり畑と音楽はきっと心に残ります。