前回、反戦映画のひとつ「ひまわり」を紹介しました。今回もその流れに乗って、戦争を風刺によって批判した作品をお伝えしようと思います。こちらは笑えるシーンも多い作品です。
チャップリン「独裁者」
私達の世代が生まれるはるか前、1940年に作られた作品です。ヒトラーの独裁政治やユダヤ人虐待などを公然と批判していますが、「重さ」はなく笑いも含んだ中身になっています。最後の演説は今の世の中でも十分通用する内容で、心を打たれるものがあります。今もなお人気を維持しているのも頷けますね。
「独裁者」の魅力
カラーでなく白黒で、今のような最先端の技術はありません。それでも、その動きで全てを表現できるのは立派な「技術」でしょうね。今観ても「昔の映画」と感じさせないほどの面白さがあります。また、ストーリーの内容や登場人物のキャラクター設定も、「独裁者」の魅力の1つです。反戦映画でありながら、登場人物が日々過ごしている様子や途中のアクシデントなどで笑いを取りつつ進んでいくストーリーは、観ていて飽きません。ただ戦争や政治などを批判するだけでなく、こうして楽しめる部分があるのもまた、この作品の魅力なんでしょう。
それにしても……チャップリンのあのコミカルな動きを見るたびに、さすが不世出と言われる偉人だと改めて実感します。
風刺映画
もう、その姿形から誰を風刺しているのか分かりますね。実在した独裁者に似た姿形でありながら、日常生活では「本物」が絶対にしないであろう滑稽な動きで笑わせてくれます。そして最後のシーン。そこまでただ笑っていたとしても、登場人物それぞれを描きながら感動的な場面を演出しています。戦争は絶対にいけない。しかし、その中でも楽しみを持って生きるのもまた「戦争に抗う」一つの手段なのかもしれません。色々ありますが、世界中のみんなが幸せになる日が来て欲しい……いくら「綺麗事」と言われても、そう願わずにいられません。
チャップリンが語りかけるもの
今チャップリンがこの世の中を見ていたら何を思い、そしてどんな映画を作ろうとするのでしょうか。日本という「平和」な国にいてテレビの画面越しに戦争のニュースを見ていると、本当に起きていることなのかと思いますよね。戦争が悲惨なものであることを次の世代に伝えるためには、私達の世代が祖父母などから聞かされた戦争の実体験を子達に伝えていったり、その時代の映画を一緒に観たりすることが大切なのかなと思います。
あの演説の内容。それこそが、チャップリン自身が語りかけていることなのでしょう。「独裁者」を家族で観て笑った後で、戦争と平和の話を少ししてみるのも良さそうですね。
……あれ?