名古屋市熱田区。市の中心部に近いこの地域は、名古屋の伝統が詰まった街です。熱田と聞いてまず浮かぶのが熱田神宮でしょうか。もちろん熱田神宮は歴史も古くて魅力いっぱいですが、そちらの紹介はまた時間をかけて行いたいと思います。今回紹介するのは、熱田を歩いて海に出るところにある「七里の渡し」です。
熱田神宮から直接歩いたことはありませんが、平均の速さで歩いて一時間くらいかかるでしょうか。
今回は、熱田区にある白鳥公園から歩いて七里の渡しに向かいました。
中川運河沿い
中川運河沿いを歩いていきます。流れてくる風とともに漂うのはもう潮の香り。ここが海沿いであることがよく分かります。
熱田区には史跡が多く残っていますが、戦時中は空襲の被害も大きかった地域です。この運河沿いに当時の爪痕が多く残されていたのは意外でした。
七里の渡し(宮の渡し)に到着
潮の香りに慣れてきた頃、運河沿いの歩道からいったん車道を渡りました。その先に見えたのが「七里の渡し」の常夜灯と鐘楼です。ここから先は、東海道で唯一の海路となり、三重県桑名市までその海路が続きます。
松尾芭蕉とシーボルト
東海道の「宮の渡し」として栄えたこの辺り。よく知られた人物も当然通っていたことでしょう。この地に碑があるのが、松尾芭蕉とシーボルトです。シーボルトは知りませんでしたが、松尾芭蕉は確かに伊賀の人ですもんね。通る機会も多かったことでしょう。
その他の歴史上の人物たち
ドラマなどでよく使われるシーンは、若き日の織田信長がこの辺りの海岸で漁などをしているところでしょうか。漁や釣り、海水浴などの信憑性はともかくとして、よく訪れたであろうことは想像つきますね。あとは、同じ戦国時代にこの地で人質になったことのある徳川家康。刈谷あたりから今川家に人質に出されるところを織田方にさらわれた……というのが一般説ですが、海路ということであれば、この熱田の地にたどり着いた可能性は高そうです。
「何もない」七里の渡しで流れる時間
正直なところ、七里の渡し近辺に公園はありますが、観光地化したような「派手な」場所ではありません。ただ、歴史好きとしてはこの「史跡以外何もない空間」こそが癒しの場所になります。潮風を感じながら常夜灯を眺めていると、当時東海道でこの地を通っていた人々の姿が浮かんでくるようです。
ここから三重県桑名市までの海路、そしてその先にあるものは……。次回は桑名市にある七里の渡し跡を紹介します。