今回は、今まで紹介してきたものとは少し変わった分野の本の紹介です。
麻雀の「Mリーガー」瑞原明奈さんのエッセイ『麻雀つれづれ日記』の紹介と感想をお送りします。
今まで仲良くしてもらっている方、記事を読んでいただいている方には「ジャンルが全く違うけど、いきなりどうした?」と思われるかもしれないので、前半に「自分語り」を入れています。自分語りに興味のない皆様は「お待たせしました、現在のお話」あたりからお読みください(^_^;)
目次
序章:自分語り
麻雀との出会い
実は、中学生の頃にもう友人と打っていました。昔は(今もあるのか?)「ドンジャラ」や「ポンジャン」とかいう子どもや家族向けのゲームもあって、麻雀は比較的受け入れやすい印象はありました。父が麻雀好きだったのも影響していますね。いつも友人が我が家に遊びに来て、父の麻雀牌を使って遊んでいました。
昼夜逆転していた大学生時代
高校では麻雀牌など触りもしない日々を過ごしましたが、麻雀熱が再燃したのは大学生の頃のことです。学生寮にいた私達は、またすっかり麻雀に嵌りました。徹夜で「黄色い朝日」を拝む日も多くあった思い出があります。
学生寮での「特殊ルール」
学生寮で先輩方と打つとき、今思えば独特なルールがありました。それは……
親を流すときは3翻以上の役で
学生寮で初めて麻雀を打ったとき、同卓の同級生(一年生)が「のみ手(リーチのみ等々)」であがる場面がありました。親を流された先輩の手が止まり、場の空気が凍り付き……もう一人の同卓の先輩が助け船を出して「あ、こいつら初めてだから仕方ないすよ」とか言いながら話し始めたのが、以下の「暗黙のルール」です。
・明確に決まっているわけではないが、3本場になるまでは少なくとも「のみ手」ではアガるな。最低3飜は欲しい
・自分が親のときや3本場以降は自由(流局続きで親のアガリがないまま3本場になったときは空気読め)
・リーチをかけた者だけゲーム中に裏ドラを確認できる。裏ドラ期待の「のみ手」リーチはアリだが、裏ドラが乗っていなかったらアガリ放棄してもいい(むしろ「そうしろ」という意味ですよね 汗)
優しい先輩も多くいましたが、全体的に雰囲気が悪くなるので、そのルールには従っていました。その「伝統」は脈々と受け継がれ……ただ自分自身後輩に「そうしろ」と教えた覚えは本当にないけれど、どうしていたのかな……。
特殊ルールの功罪
メリット?
メリットかどうかは意見の分かれるところとは思いますが、以下の点はそのルールならではの面白さがありました。
場が高くなる
もう、満貫なんて当たり前。役満もそれなりに見た気がします。一気に流れが変わることも多く、ハコになっても逆転を目指せます(実際にハコから逆転したケースは記憶にないけれど)。そのためか、最後まで逆転可能なスリリングな展開になることも多くありました。
また、場が高いのと比例(反比例か?)して、手は基本的にみんな遅くなります。これは功罪どちらにも転ぶ要素ですが、結構後半まで大物手の夢を見られたところは面白かったですね。
ある程度手作りに集中できる
親以外は実質上「◯飜縛り」ということは、鳴く人も少なくなります。しかも「赤なし、食いタン無し(鳴いたらタンヤオの役はつかない)」のルールでやっていたので尚更です。仕掛けがあまりないので、親以外のヤミテンや早上がりをあまり警戒しなくて済みます。逆に、鳴かれたら「こいつ、高いぞ」と警戒するのですが(終盤形式テンパイのために鳴きが続出するのも特徴)。どちらにしても、それまでは基本的に中盤あたりまで親以外は無視して手作りに集中できます。
デメリット
こちらは「?」は付けませんでした。だって……ねぇ(^_^;)
世間では全く通用しない
そりゃそうでしょう。単純に「夢を見過ぎて手の遅い奴」です。序盤、ピンフならとっくにテンパっているのに、完成されているひと面子(ヘタをするとそれ以上)落として一色手狙いとか「お前はバカか」という話です。
この辺り、ゲームで打つ場合など、冷静な頭では分かっていても、高い夢を見すぎる癖は出てしまうんですよね。
たとえば、ファミコン(古いな……)の麻雀ゲームで遠い高打点の手をのんびり狙っている中、早い手でさっさとアガられるとか、「のみ手」で親番を消されてコントローラー叩きつけるとか……変なストレスも増えた気がします(^_^;)
あと、場を見る力もつかないですよね。「メリット」として書いた話ですが、相手を無視して役作りをするということは……。しかも、素人が高い手を強引に作れば捨て牌もたいてい露骨で、深く読まずともある程度察しはつく(たとえば「ああ、萬子のチンイツですね」とか「おやおや、チャンタですか?ひょっとして国士?」とか)。そのため、あまり読む作業をしていない気がします。
多分私は、経験した対局数からすると格段のレベルで場が読めないと思います。役にしても「親は安目が多い、子は高い」「親のリーチなんて半分以上安い手だから勝負、子のリーチは高いから降りよう」なんて、「むしろ逆だろ」という感覚が深層心理のどこかに残っているから厄介です。
進行が遅くなる
これも「そりゃそうだ」というお話。皆手が遅く流局が増え、親が有利なので連荘になる確率は格段に高くなります。徹夜で2半荘しかできなかった、なんてこともあったような……。
お待たせしました、現在のお話
麻雀熱、再び?
私がTVゲーム等以外で実際に麻雀を打ったのは、大学を卒業して数年後に同期の仲間と打ったのが最後です。そんな私も「いい歳」になり、そろそろ記憶力がヤバくなってきて、脳トレにと思ってふと手にしたのが麻雀の「何切る?」の本でした。いや、その前に……
偶然現れたYouTube
野球や果物の栽培や料理・地元愛知県のドライブ映像などを中心に色々見てきたYouTube。ところで、YouTubeの「おすすめ」って、何を基準にして出てくるのでしょうね?
というのも……
おすすめ動画でたまたま、Mリーガーの多井さんと他のMリーガーの方が蒲郡競艇場でお話している動画が出てきて視聴しました。
恐らくですが、妻の実家近くの競艇場(義父がよく通っているらしい 笑)の地名「蒲郡」か何かでおすすめのワードに引っ掛かったのかな。
そこで「そういや麻雀、学生時代以来だな。懐かしいな」という感情が芽生え、そこから派生して多くのMリーガーの皆さんの動画が出てくるようになり、麻雀の動画をよく見るようになりました。
それまでは「Mリーグ」という単語も知らなかったのに、随分な変わりようです。
先程の「何切る」の本も、恐らくその流れで無意識のうちに手にしたのでしょう。
瑞原明奈さんのエッセイ「麻雀つれづれ日記~切った牌はもどらない~」
麻雀つれづれ日記 切った牌はもどらない/瑞原明奈【1000円以上送料無料】 価格:1,760円 |
Mリーガーの方々がYouTubeで紹介しているのを見て、欲しくなりました。MVPを取られていて、成績も一流ですしね。
どこかの動画で罰ゲームで語尾に「にゃ」を付けて自書を紹介「させられていた」のが可愛くて、購入の決め手となった……のは内緒の話です
副業ライターから見た印象
ライターさんを使わず、ご自身で書かれたとYouTubeか何かで聞きました。もちろん編集の段階で手直しなどもあったのでしょうが、それを差し置いても、率直に……多才ですね。「ライターとしても一流になれるだろうなぁ」なんて思いながら、内面の感情を冷静に表現しているところなど、むしろ参考にさせていただいた箇所が多くありました。構成もまとまっていて読みやすく、全体を物語のように読み進められます(文中に触れられている「計画性がある」とお父様に褒められた性格などは、文章構成でも生きているのかな)。競技や実生活では表面に出さないであろう内心の部分など読み進めていると、人としての魅力も感じられますね。
麻雀のお話
瑞原さんは「鳴くのが苦手だった」と書かれています。私が動画を見る限り、そうは見えないのですが……プロレベルでは思うところもあるのでしょう。私のしょうもない自分語りも見ていただいた方は想像がつくかもしれませんが、私も鳴くのはかなり下手なはずです(実戦譜解説の後半に触れられているように、Mリーガーの黒沢さんのように「基本的に鳴かない主義」にしてしまうのもアリなんでしょうが)。瑞原さんも、プレイスタイルで葛藤が少なからずあったのがうかがえます。そこでご自身の特徴とチームや周囲のアドバイスなどを総合して「自分のスタイル」を築き上げていく過程などは、実生活の色々な局面でも参考にできそうです。
悩みや葛藤は、どんなに強いプロでも持っていることでしょう。その一部でも垣間見えた気がして「みんなそうだよなぁ」と当たり前のことを再認識できました。
お母さんとして等々
この世界でここまで十分すぎるほどの成功を収めている方でも、色々理解されていない部分があり、思うところはあるのですね。読みながら、自分もどこかで女性を下に見ているところはないかと省みていました。大丈夫かな……見つからなかったのか、ここまで書かれてもまだ気付いていないのか、そこは第三者に確認を取ったわけではないので何とも言えません。ただ、妻も正社員として働いている中で、色々思うところもあると思います。より一層感謝しつつ、色々話せたらいいなと思っています。
全体のお話
最近はYouTubeなどもあって、麻雀に限らず、プロが胸の内を明かす場面がよく見られるようになったと思います。たとえば私は野球が好きで、贔屓のドラゴンズの選手達の「素の表情」をよく見て楽しんでいます。麻雀でもYouTubeなどで牌譜の検討をしている方が多いですよね。それらもよく見ますが、エッセイになっているとまたひと味違った雰囲気が感じられます。
我々がプロのプレーヤーと「接する」機会といえば、昔は「麻雀教室」など指南書的な書籍くらいしかなかったのではないでしょうか。指南書のようなものでは、当然「こうするのが基本です」「こうしましょう」という内容で書かれているわけで、何となく迷いや悩みはないように感じてしまいます(もちろん冷静に考えれば「そんなはずはない」と分かることですが)。エッセイにしてもYouTubeなどの牌譜検討動画にしても、競技者としての葛藤や悩みが見えるのは「一流の人でも(そういう人だからこそ?)これだけ悩んだり迷ったりするのか」と思えて興味深いです。これから試合や動画を見る中で、「人間味」もより感じられそうな気がします。
瑞原さんももちろんですが、プレッシャーや「外野の声」などと戦っているプレイヤーの皆さん全てを応援したくなりました。
瑞原明奈さんが書かれているその他の本
「瑞原明奈のロジカル麻雀入門」
価格:1,694円 |
この「ロジカル麻雀入門」も購入して読みました。こちらは麻雀を打つ際の「考え方」が書かれています。自分なら何を切るか、どう対応するか……個人的には「自分なら無謀に突撃して自滅しているなぁ」と考えることが多かったかな……。やはり学生時代の「独自ルール」から抜け出しきれていないのかなぁ。
あと、イラストの兵隊さんが可愛いです 笑
イラストでは撤退を指示されましたが(笑)あんな兵隊さんに「突撃ぃ〜!!」とか言われたら、ひたすら進んでしまいそう(^_^;)
……って、まるで私達が麻雀できるみたいに書かれているわよね
そのほか、こちらの本でもコラムに瑞原さんのここまでを振り返る「人生の選択」が書かれていて、今回紹介するエッセイとあわせて読みたい本です。
ただし……「入門」は「ロジカル麻雀」のことで、「麻雀そのものの入門」ではないので、役やルールなどを知らないと内容面は難しいかもしれません。麻雀を知らないのであれば、まずは入門書で役などを知ってから読まれた方がより楽しめそうです。
私と麻雀の、これからの付き合い方
麻雀を打っていた時期は楽しかったです。でも、実生活があると少なくとも(定年退職などで)悠々自適になるまでは「見る専」かなと思っています。あとは、脳トレ感覚で「何切る」を考えたり本を見て自分ならどうするか考えたりするくらいかな。
自分の時間の中で、うまくお付き合いしていきたいですね。
「麻雀つれづれ日記~切った牌はもどらない~」まとめ
さいごに、簡単にまとめます。
私自身は「Mリーガーの選手の素顔を知る本」として購入しましたが、エッセイとして、麻雀に興味がない人にもおすすめできる本です。「勝負師として」「人間として」「母親として」「女性として」等々、さまざまな視点で見られますね。
しばらくしてまた読み返してみようと思っています。
長文になりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。