名古屋から東濃の山城を巡るドライブ。前回は、岐阜県中津川市にある「石の上に建てられた山城」苗木城を紹介しました。今回は苗木城をあとにして、隣の恵那市にある岩村に向かいます。岩村には「日本三大山城」のひとつ、日本で最も標高の高いところに建てられた岩村城と、その城下町があります。
前回までの記事は、下のリンクをご覧ください。
秋の東濃で山城を巡るドライブ~中津川インターから苗木城へ~
秋の東濃で山城を巡るドライブ2~苗木城の石垣・門、そして紅葉~
苗木城から岩村に向かう
岐阜県中津川市にある苗木城を出発したあと、木曽川を渡り、ダム湖などを通り抜けて岩村に向かいました。車ではおよそ30分の道のりです。苗木城の駐車場は限られていた印象がありますが、岩村は駐車場の選択肢が多くあります。お城だけ見たい人、城下町だけ見たい人、両方をゆっくり見たい人。それぞれの目的に合わせて駐車場を選ぶのも良いでしょう。ただし、ここは観光地として人気も高いので、週末などは(満車等で)時間帯によっては選択肢は限られるかもしれませんね。
岩村の城下町
私は「岩村振興事務所」の駐車場に停めた……と思います(^_^;)
(^_^;)←実は適当に停めたので確証がありません
まずは岩村の城下町を歩いたのですが、そのまま一旦通り抜けてお城に向かいました。そのため、まずは話の構成上岩村城の紹介から行います。城下町は続編で紹介しますので、しばらくお待ちください。
岩村城について
岩村城は、天守閣のあった本丸が標高717メートルにあり、「日本で最も標高の高いところに建てられたお城」といわれています。
第一印象は「えっ? たとえば長野とかにもっと高い場所に建てられたお城はないの?」でした。そこでもう少し調べてみると「居城の中で」という言葉を発見しました。軍事拠点として実際にもっと高い場所のお城があったのかどうかまでは調べませんでしたが、それなら何となく納得です。
岩村城の歴史
お城が最初に建てられたのは、鎌倉時代だそうです。その後のことを語り出すと大変ですが……最も有名なのは、織田信長の叔母である「おつやの方」が嫁ぎ、夫が早くに亡くなったために信長の子を養子に迎え、成人するまで城主の立場で治めた「女城主」の言い伝えでしょうか。
その後は明治時代の廃城令で建物が壊されて石垣だけになるまで、延々と受け継がれていきます。
美人城主・おつやの方の悲劇
「女城主」として知られるおつやの方。一説によると、かなりの美人だったようです。そこで……かどうかは知りませんが、大軍で攻め寄せた敵軍(武田軍)の大将・秋山信繁に「自分の妻となったら城兵の命は助ける」と持ちかけられます。早くに夫を亡くして独身だったおつやの方。織田方の援軍もなかなか望めない中で、籠城していた兵達の限界を感じていたおつやの方は、その条件を呑んで降伏しました。
その後、長篠の戦いで織田軍が武田軍を破り、それをきっかけに岩村を含む東濃地方も再び織田軍の勢力が強くなっていきます。そしてついに織田軍が岩村城に攻め寄せ、耐えられないと判断した秋山信繁は降伏しました。降伏の条件として命を助けてもらえるという話でしたが、約束は反故にされ、秋山信繁とともにおつやの方も逆さ磔で処刑されたといわれています。織田信長の立場で考えれば、身内に一旦「裏切られた」形です。おつやの方や周囲に対する強い思いもあったことは想像できますが、いずれにせよ残酷な最期ですね。
岩村城の別名
岩村城の周辺では霧がよく発生し、霧ヶ城という別名もあったようです。敵が攻めてきた際、お城にある井戸に蛇の骨を投げ入れたら霧が発生してお城を守った、という言い伝えもあります。次編でその井戸のお話もしますね。
岩村城を登る
さて、それでは岩村城を登っていきます。ここから700メートル、なんて標識を見たときは「大したことないな」なんて思っていたのですが……さて。
残り600メートル。全く平気です。もう7分の1過ぎたの? 楽勝ですね。
残り500メートル。少し息切れが……でも大したことないでしょう。そろそろ石垣もたくさん見えるかな?
残り400メートル。あの……歩きにくくないですか? あそこから本当にたった100メートルしか歩いていないのですか? もうそろそろ本丸でしょ?
残り300メートル。……すみません、休憩所はどこでしょうか。畳門あたりで一旦小休止します。もう、こんな所を攻めるなんて無理です。
残り200メートル。この辺りから多少歩きやすくなるので、残り300メートルの地点で感じたほどの絶望感はありませんでした。
残り100メートル。ここまで来ればもうゴールが見えるので楽になりますが、ここで城兵に出逢ったら無抵抗で討ち取られること必定です。
そして、やっと本丸到着です。舐めていたら、結構体力を奪われます。休み休み登っていくのが一番ですね。石垣や遺跡などをゆっくり感じながらマイペースで行きましょう。
無事登城を果たしながら討ち取られた、何の価値もないおじさん……しばらく回復に充てますので、ここで一旦記事を切ります。次回はお城の石垣や門など、構造を中心に紹介します。