今回は法定相続分について話していきますが
まずは、よくある誤解について触れておきます。
それは……
「遺産は必ず法定相続分で分けなければいけない」
という誤解です。
確かに法定相続分は、何もない場合の一般的な分け方として民法で規定されているものではありますが、遺産分割は法定相続人全員が同意をすれば、法定相続人同士でどんな分け方もできます。特に争いや特殊な事情がない場合であれば、相続人同士で話し合うのではないでしょうか。そう考えれば、「法定相続分は目安」と考えた方がいいかもしれませんね。
そんなことも頭に入れながら、今回の記事を読んでいっていただければと思います。
法定相続分とは
法律で定められた、亡くなった人の遺産を相続できる割合のことです。
冒頭の繰り返しのようになりますが
「必ずこれだけ分を相続しなさい」とか
「これ以上は相続できません」とかいうものではありません。
実際、各家庭で色々事情があるでしょう。
被相続人から自分だけ多額の贈与を受けていた相続人や、被相続人の生前に介護などを全くせずに遺産分割の場になったらひょっこり現れた相続人に法定相続分を主張されたら、そこそこ温厚な人でも「ふざけんな」って思いますよね(^^;)
また、不動産など(持ち分を分ければ可能とはいえ)分割に相応しくない遺産もあります。
だから、もちろん時と場合によりますが、相続を行う際に法定相続分は「話し合うときの目安」と考えた方がいいように思います。
しかし、相続対策を考えるうえでも、法定相続分の知識を得ておくことは重要です。
法定相続分を知っておく意義は?
もうそのまま法律に従って分けたい場合以外にも、法定相続分を知っておくと役立つことはあります。ここから主なところを紹介してみましょう。
遺産分割の際にたたき台になる
もう再三同じようなことを言って申し訳ないのですが……もし自分達で分割方法を決めたいとき、白紙から分割方法や配分を決めるより、法定相続分で分けたときの割合を知っていた方が話は進めやすいでしょう。
もしものとき、最低限主張できる割合が分かる
意に反して遺産をもらえなかった法定相続人のうち、兄弟姉妹を除く人は一定の比率だけ遺産をもらえるよう請求ができます(「遺留分」と言いますが、説明を始めると長くなるので別の機会に説明しましょう)。このとき、遺留分の割合は法定相続分の値を基にして算出されます。
そのほかにも、相続税の試算を行なったり、相続対策を行う際に遺産分割を想定したりする場合にも、法定相続分を知っておくと活用できますね。
実際の法定相続分は?
それでは、実際に法定相続分を確認しておきましょう。
それぞれの相続人についての説明は法定相続人の記事をご覧ください。
配偶者
法定相続分が一番多いのが、この配偶者です。
他の相続人の構成によって、法定相続分は変わります。
子がいる場合
2分の1
被相続人と配偶者の間に実子がいる場合はもちろんですが、たとえば被相続人の前配偶者との間の子など、被相続人に子がいれば法定相続分は2分の1です。また、被相続人に養子がいる場合も同じですね。
子がいなくて、親などが健在の場合
3分の2
これも、実の親だけではありません。養父母でも同じです。亡くなった配偶者が養子縁組していて、その養父母が健在であれば法定相続分は3分の2になります。
子や両親などがいなくて、兄弟姉妹がいる場合
4分の3
配偶者の兄弟姉妹となると、あまり交流がない人もいるかもしれませんね。お互い「自分が亡くなったら妻(夫)に全財産を相続させる」という内容の遺言を書いて対策を立てている人も多いです。そうしておくと遺言を使って相続手続きができるので、話し合い(遺産分割協議)の必要はなくなります。
子も両親も兄弟姉妹もいない場合
全部
「そりゃそうだろうよ」
という話ではあるのですが、一応(^^;)
子(または孫など)
まず確認しておくこととして
子が既に亡くなっていて、その子どもである孫などが相続人になる場合、法定相続分はその亡くなった子が生きていれば本来得ていた分を(複数人なら均等割して)相続できます。
配偶者がいる場合
2分の1
これは「1人2分の1ずつ」ではなく「子ども全体で2分の1」という意味
……って、冷静に考えれば当たり前なんですけどね。兄弟姉妹が複数いると合計で1(100%)を超えてしまいますから(^^;)
2人きょうだいなら4分の1ずつ、3人なら6分の1ずつ、となります。
配偶者がいない場合
全部
既に死別していたり離婚していたりすると、子どもが100%相続して、それぞれの割合は人数で均等に割ります。
被相続人の子であれば、母または父が違っても、そして養子でも、全て同じ比率です。
親またはその上の世代
ここも、祖父母が法定相続人になるときは、子と孫の法定相続分と同じ考え方ですが、親がいなくて祖父母が……というケース自体相当レアケースですよね(^^;)
配偶者がいる場合
3分の1
これも子のところで話したのと同じですね。両親とも健在であればそれぞれ6分の1ずつになります。
配偶者がいない場合
全部
ここは特に触れるべきものはないでしょう。
兄弟姉妹
被相続人が亡くなった際に生涯独身だったり子どもがいなかったりするケースは、生き方の多様性が認められてきた世の中で、これから増えていくでしょうね。
配偶者がいる場合
4分の1
3回目になるとしつこいですが……人数割です。ただし……
配偶者がいない場合
全部
ただし、の続きです。
親からの相続(均等割)と異なり、兄弟姉妹の相続では
両親とも同じ兄弟姉妹と、片方の親が異なる兄弟姉妹で、比率が異なります。
被相続人と片方の親が異なる場合、法定相続分は両親とも同じ兄弟姉妹の2分の1になるので要注意です。
自身に関わる法定相続分を確認しておこう
法定相続分について、理解いただけたでしょうか。
実際には色々とややこしいパターンもありますが
特殊な例を紹介していくとキリがないので、割愛している部分もあります。
もしご自身やご家族がここの例に当てはまらない場合や、よく分からない場合には、個別に相談してくださいね。
ややこしい部分を全て覚えなくても、自分自身が関係する範囲でどうなるのかは把握しておくと、対策を考えるうえでも役立つかなとは思います。
次回は相続放棄についてお話しましょう。
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構成や人数によって随分変わってくるのね
相談を受ける側としては
本当に特殊な例を除いて、相続関係図を見たときに
即座に登場人物の法定相続分が浮かぶようにはしておきたいところだね
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相談も受けられないんじゃないの?
ただ、しっかり把握しておかないと
前提とした話ができないケースもあると思う
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基礎の部分だけ分かって
自分自身の家系に当てはめられれば
それでOKなんじゃないかな
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あくまでご自身が関係する相続や
相続対策に活かすための知識だもんね
あと、法定相続分を気にしすぎて
「自分はこれだけもらえるはずだったのに」
という不満を口にされる方もたまにいるから
そこは要注意かな
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「目安」って言ってるのね
FPとか受ける人はしっかり覚えないといけないし
専門的に学ぶのであれば、基礎知識として
必要な事柄であることは間違いない。
だからそれを「こんなもんはあくまで目安」
なんて言ってしまうのは、学問的には
本当は良くない表現なんだろうけどね
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あくまで「皆さんでできる相続対策」だから。
争いとまで行かなくても
しこりの残りそうな要因は無くしたいな
と思ったんだ
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「実際の法定相続分として定められているのはこれだけ」
「でも、話し合いができて合意できるなら自由に分けられる」
「対策の段階なら遺言などを使って分けることも考える」
そう認識しておくといいかな
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私は誰と遺産分割の争いをすればいいの?
いや、君は一人っ子だし
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私達夫婦のどちらかが先に死んだとき
遺された人と分ける形ね
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シュッシュッシュ
結局最終的には君に行くんだから
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お父さん、どうせ大した財産ないじゃん
争う必要ないし、もしお母さんが先でも
お父さん相手ならチョロいし
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