副業・ライター

物忘れの詩(うた)~3000文字チャレンジ「成長」~

老若男女問わず、人間はいつでも成長しているものだと思っている。
「成長しなければ」
とゴリゴリ頑張るのもいい。
ただそれは
自分自身の望む方向に成長できるかどうかであって
何もしていなくても「成長」自体はしているはずだ。
例えば
ダイエットに失敗した。
これは、体の主に横方向の成長が著しかっただけのことだ。
気に病むことはない。

冒頭からコイツは何を言い出したのか。
私にも分からない。

どうせ、ここから話す何かの言い訳をするために伏線を張っているのだろう

そんな声が聞こえる。

……どうして分かった?(津川雅彦風)

お年寄りに向けてよく使用した言葉に
「老人力」というものがある。
記憶の低下
体力の低下
判断力の低下
それらを失ったと後ろ向きに考えず
「老人力がついた」と前向きに捉えよう
そんな意味合いである。

まるっきり他人事だったその言葉に
お付き合いする日が、こうも早く来ようとは。

♪ようこそここへ クッククック ワタシの老人力♪

そもそも歌が古い?
えっ? そうなのか?
今昭和何年だ?(わざとらしい)
昭和に換算すると96年ですね(聞いてない)

さて。
便利な言葉だな、「さて」って。
自分の中で収集がつかなくなったときに
突然かつ強引に本題に移せる魔法の言葉だ。

♪ちちんぷいぷい♪

えっ? これも古いのか?
ならサリーちゃんとかどうだ?
(いや私も実はサリーちゃんをよく知らない)

……さて。
最近、以前に増して増えたと感じるのが、物忘れの酷さである。
本業でも、オフィスで彷徨う姿をよく目撃される。
何故彷徨うのか?
そこに忘れ物があるからだ。
ふっ……なんだか格好いいじゃないか。
あれ? ところで私は……

ここで一句。

探してる モノを忘れて 立ち止まる

♪探しものは何ですか 見つけにくいものですか♪
「元気ですか?(井上陽水風)」
元気はあるが
それより私が探していたはずのものが何だったのか見つけて欲しい。
ああ、何探していたんだっけな。
ほら、もう一度振り返ってデスクを立ったところから……

♪まだまだ探す気ですか それよりボクと踊りませんか♪
いや
あてもなくキョロキョロしながら探している姿は
既に踊っているようなものだろう。
そして、それを他人に尋ねるのも悪い癖だ。
「あのさ……俺、何探していたんだっけ?」
知るか、という話である。
妻ならその一言で片付けてくれるし
仮にそれ以上尋ねても
「別に、思い出さないならその程度のものだったんでしょ?」
という核心をついたアドバイスをくれる。
しかし、同僚は一応考えている体を装ってくれるから申し訳ない。

諦めて別の仕事を始めてしばらくしたとき
近くの席のお姉ちゃんが話しかけてきた。
「思い出しました?」

え?

何を?

「いえ……いいです」

ああそう。聞くこと忘れちゃったのかな?
思い出したらいつでも聞いてね。

そういえば
お昼休みには、妻が作ってくれたお弁当を食べる。
いつも美味しくいただき
午後の仕事の活力となる有難いものだ。
家に帰り、お弁当箱を出すと……妻が尋ねる。
「今日のお弁当、どれが一番良かった?」
あ……ああ、どれも良くて甲乙は付けられないね。
そう言った私に、妻は冷たい視線を浴びせてくる。
ここで私が恐れている質問はただ一つ。
「今日のお弁当のメニューを言ってみろ」
その質問をあえてしない、妻の優しさが身に染みる。

本当は 昼の記憶が 何もない

仕事から帰って気を抜くと、更に酷くなり
家でも最近色々やらかしてしまう。
たとえば。
「ちょっとコレを〜やっといてくれない?」
「了解」
そう答えて振り向いた直後の出来事である。

一句。
いや二句。

了解と 言った直後に 用忘れ

振り向けば 過去の記憶は スッカラカン

家族は私をニワトリと呼ぶ。
ニワトリは振り返ると、その前のことは忘れているらしい。

ニワトリさんの失敗談は尽きない。
車のガソリンを入れに行った際
信号で停止したら、前方のコンビニに目が行った。
入口近くに書かれた大きな文字と写真……
白桃のソフトクリームだと?
桃、大好物じゃないか。
私のために出された商品のようだ。
そして、気付けばコンビニのレジにいた。
いやぁ、うまい♪
帰宅後も幸せ感満載で過ごしていたところで。
……もうお気付きの方も多いだろう。
私はガソリンを入れに出たはずなのに。

短歌も混ぜてみよう。

ガソリンを 入れずに帰り 気付くのは 私の脳の 燃料不足

私は悪くない。
あそこで赤になったあの信号と
好物を大々的に宣伝をしていたコンビニが悪いのである。

家族の冷ややかな視線が痛い。
いいじゃないか、指摘される前にちゃんと自分で気付いたのだ。
……コンビニをただ往復して無駄にガソリン使ったことには
触れないでいただきたい。

汚名返上の機会は、一家団欒の中にある。
家でクイズ番組を見ているときのことだ。
ふっふっふ、こう見えて私が知識人であることを見せてやろう。
あーほら、このクイズは正解知ってるよ。
アレだよアレ、ほらあの
(ここでテレビの回答者が正解する)
な? 言った通りだろ?

一句。

それはアレ そら見ろ俺の 言う通り

家族の冷ややかな視線を浴びながら
得意満面の笑みを浮かべていると
現実を突きつけられる。
「お父さん、アレしか言ってなかったよね」
うん? 言ってる意味が分からないが。

家族といえば
出先で家族に何か伝えたいとき、重宝するのがLINEだ。
「今日何時に帰る」
「お昼、何食べたい?」
そんな用事が伝えられる。

しかし、である。
メッセージを見るまではいいのだが。

ここでまた一句。

返信を 忘れ気付けば 既読スルー

更に家族から浴びる、冷たい視線。
しかし、家族がいるときなら何かやらかしてもカバーしてくれるので助かる。
困るのが、たまに一人で出かけるときだ。
そういうときにまたやらかしてしまう。

平日休みに、近くのショッピングモールに一人で出かけたときのこと。
帰ろうとしたところ、車を停めた場所が分からない。
とにかく、どこに停めたかの記憶がない。
無意識に停めるから思い出しようもない。
いや待て。
私が停める場所はたいてい決まっている。
その周辺にないということは……
これは警察を呼ぶべきではないだろうか。
まだ買ったばかりの新車だ。
盗んだのは誰だ! 出て来い!

……って、あれ?

突然一句浮かんだ。

盗まれた! 黙れお前が 真犯人

何を言っているんだ。
私が何の真犯人なのか。
私が私の車を盗むとか、意味が分からな

……あっ。

今日はいい天気だから
運動を兼ねて15分かけて歩いてきたんだった。

ウォーキング 記憶も共に 歩き去り

盗むといえば
ライターとしては、盗作やコピペなどは許せないところだ。
しかし、偶然ということはあり得る。
今回の話だって、どこかで誰かが同じようなことを言っているかもしれない。
川柳だってそうだ。
私はシルバー川柳も好きでよく見て笑っている。
そこで同じような句がある可能性もある。
しかし、私は盗作はやっていない。
いや、できないのだ。
なぜならば……

盗作を できる記憶が まるでない

記憶がない
何をしていたのかも思い出せない
いやいや、私にも立派な老人力がついてきているのではないか。
これはめでたい♪

めでたいと 言うよりお前は おめでたい

ただ、誤解しないで欲しい。
私は、こうしてブログのネタにするために
道化を演じているだけのことなのだ。
本当の私はしっかり者なのに、仕方なく記憶を失っているだけなのだ。
この暗くなりがちなご時世には、笑いを提供することが大切である。
笑って元気になって、この厳しい世の中を乗り越えていかなければならない。

強がりの 口先だけが 成長し

文字数に達したようだ。
今日のところは、これくらいにしといてやろう。

……ところで
今回のお題、何だったっけ?

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