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毎日がにちようび~3000文字チャレンジ:お題「日曜日」~

日曜日は忙しい。
何故かって?
平日に本業のある副業ライターは、夜帰ってからできることは限られる。時間もさることながら、体力的にもしんどい。したがって、仕事が休みになる土日に作業が集中するのだ。
それでも、副業ライターは楽しんで続けている。元々文章を書くのが好きで、文学賞などに応募したこともあるくらいだから、書いていて単純に楽しい。
文学賞の結果?そんなことはどうでもいい
(触れたくないらしい)
とにかく、書いたものを誰かに読んで笑ってもらえるのが嬉しい。それだけだ。
しかし、ライターとしてその「自分の楽しみ」だけを前面に出すと、ろくなことはない。

ライターを目指して、初めて案件に手掛けた頃。
私はとにかく自分を出そうと必死になった。
「自分にしか書けない記事を書いてやる」
これが当時の私の目指すところであった。
今でも鮮明に覚えている。
「求職者向けに地域情報を掲載する記事」の募集を見つけて、私は飛びついた。「ちょろいもんだね。任せといて」とばかりに書いた記事の内容は、大まかに以下のとおりだ。
「ああ、〇〇県の〇〇市ね。行ったことあるよ!海が綺麗でね、ちょっと足を伸ばすと遊園地もあるよ♪ボクは家族旅行で遊園地沿いのホテルに泊まったんだけどね、もうそこから見た夜景が綺麗で最高!」

バカ野郎。

何が最高か。

最低そのものでしかない。

ああ、もちろん「口調」はですます調で書いてはいた。しかし、「ノリ」はこのまんまである。この文章を見た編集者さんは何を思ったであろうか。恐らく半笑いで、一文読むか読まないかのうちに非承認の決断を下したであろう。
今書いている、ブログの記事であれば勝手に書けばいい。書いた自分が恥をかくだけだ。実際、この記事は「日記」のつもりで自由に書いている(読んで頂いている方、中身のない文章にお付き合いいただき本当に感謝)。しかし「この相手に向けて書いて欲しい」と指定されている中での『相手ガン無視』は、もはや我ながら見事というほかない。

昔……あれは高校時代だったか。
授業中に当てられてトンチンカンな回答をするといつも
「お前の頭は日曜日か」
と叱責する教師がいた。
意味不明なようで、まあ言わんとしていること自体は分かる。
「にちようび」の「ち」と「よ」のところで裏声になって、モノマネが得意だった友人がよく真似をして周囲を笑わせていた。
「自称ライター」の私が書いた前述の文章も、まさに「頭が日曜日」でしかない。その事実に気が付いたとき、そのモノマネが得意な友人に叱責された気分になった。いや、先生の記憶は不思議と薄れ、叱責の声は何故かその友人のものなのだ。

ちょっと横道に逸れて、偶然の話をしたい。実はその「モノマネ名人」の友人とはそれほど親しかったわけではないし、かといって仲が悪かったわけでもない。そのため、高校卒業を機にもう会うことはないと思っていた(いや、もう存在すら意識していなかった)。ところが、娘が小学校一年生の時に再会することとなる……同級生の父親同士として。

入学式で声を掛けられて偶然の再会に驚き、それからは運動会などの行事で会うと、子供を応援する合間などに高校時代の思い出話にも花を咲かせた。運動会、行われる日も日曜日……そして彼も、その先生のことを覚えていた。

「日曜日っていうと、あの先生思い出すね」
「そういえば、〇〇君(友人)はあの先生の真似が上手かったよね」
私の言葉に、彼はバツの悪そうな様子で視線を逸らした。代わりに、彼の眼差しを受け継いだ、娘の同級生である少年がキラキラとした瞳を向けている。やはり血は争えないらしい。

娘が小学校高学年になってから、その少年のことを聞いてみた。
「〇〇君はどんな感じ?」
「ああ、あいつ? ただのバカだね」
私は、あのときに視線を逸らしたあと
彼が私に返してきた言葉を思い出していた。
「そういう▽▽君(私)は毒舌王って呼ばれていたよね」

話を戻そう。
「頭が日曜日ライター」として衝撃のデビューを果たした私は、しばらくの間その記事が非承認になった理由が分からなかった。「そこまでされてもなお」自分の正当性を信じて疑わなかったのだろうか……我がことながら、意味不明である。自信があったはずの文章力を見直してみたり、構成を考えてみたり……全く的外れなことを続けているうちに、やっと「どんな情報を求めているのか、何が知りたいのか、読み手の気持ちを考えましょうね」という基本に辿り着いたのである。お仕事を探している皆さんに向かって観光地案内をし、ダメだしされると案内文の内容をチェックし……何とお粗末だったことか。

それ以降は、今までに増して読み手の意図を考えるようになった気がするが、そんな話をこれ以上書いてもつまらないので割愛する。何故って? 人はえてして他人の不幸が好きだから、成功体験など聞いてもつまらないだろう。
うん? 「人はえてして」なんて、お前と一緒にするなって? そうか……うん、そうかもしれない。
「自分の成功談を書いても自分が楽しくないからやめとくね」
これで許していただけるだろうか。

日曜日が忙しくなり始めたのは、娘が遊んでくれなくなり、モノ書きが楽しくなってきてからである。旅行のスポット紹介やスポーツの話題、本業で持っている知識を活かした話題など、数々の記事をこなしていくにつれて、いつの間にか考えは大きく変わっていた。
当初は「自分らしさを出そう」などと考えていたが、情報を知りたくて辿り着いた読者にとって「誰が書いたかなんて興味はない」のではないか。
もちろん
・資格を持った人間が書いた専門的な文章
・(その人のファンにとって)有名ライターさんが書く文章
などなど、例外はある。しかし、正しい情報を分かりやすく書いてありさえすれば、著者が誰であろうが構わないのではないか。
そう考えた結果、今は文章を書き分けている。このブログのように「勝手気ままに自分を出して書く文章」、記事によって「必要としているであろう情報を淡々と書いていく文章」「ややくだけて、話しかけるように書いていく文章」など。

ここまで書いてきて、ふと頭をよぎった。
私の頭は、今何曜日なんだろうか。
冴えているのか、相変わらずなのか。

いや、待てよ。
そもそも私の頭は一体何曜日に冴えているのであろうか。
月曜日? いやいや、休みボケで頭は働いていない。
火曜日? いやいや、まだ本調子ではない。
水曜日? いやいや、週の半ばでそろそろ疲れ始めている。
木曜日? いやいや、理由はないが万全ではない。
金曜日? いやいや、もう頭は閉店準備を始めている。
土曜日? いやいや、一週間の疲れを取りたいから閉店。
ということは……

今度先生と出会ったら、私はこう話しかけようと思う。
「センセイ! ボクの頭は日曜日です! 絶好調です!」

そしてまた日曜日がやってくる。
繰り返しになるが、私は日曜日は忙しいのだ。
買い物にも行かなければいけないし、お気に入りのテレビ番組も見なければいけない。夏場はプロ野球中継も見なければいけないし、夜は大河ドラマも見なければいけない。
あれ?
いや、もちろんライターの仕事だってしなければいけない。
忙しい合間の時間を使って、締め切りまでの時間を確認しながら執筆を続けていかなければいけないのだ。

この間、テレビ番組で興味深いことを言っていた。
本当に忙しい人間は、忙しいとあまり言わないそうだ。
何故なら、そんなことを言っている暇すらないから。そして、それを言っても意味がないと知っているから。
忙しいが口癖の人は、本当はそれほど忙しくなく
「忙しいアピール」をしているパターンも多い……とか。

なるほど。

うん。

今週の日曜日は何をしようか。
私は忙しくて仕方がないのだ。
そして、そんな私の姿を見て、きっと先生は叱責するだろう。

「お前の頭は日曜日か?」

ハイ、センセイ!ボクの頭は日曜日です! 今日も絶好調です!

ああ、忙しい忙しい。

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