相続対策・両親の老後対策

幸せなうちの対策を!親の認知症対策・相続対策~その1・基本編~

台風や地震などの災害に備えている人は多いでしょう。特に近年は災害のニュースも多く、今災害に遭っていない人にとっても「他人事ではなくなった」あたりが、災害対策に気を遣う人が増えた要因の一つだと思います。
それでは、認知症対策や相続対策はどうでしょうか?
対策の重要度に上下などつける気はありません。ただ、人間に寿命がある限り、こちらは「他人事どころか、確実に訪れる問題」です。介護予防のお話はこのブログでもよく触れていましたが、今回から認知症対策や相続対策についても話していきます。今回は、対策を行う前に押さえておきたい基本的な知識について説明していきます。

筆者紹介

私は、本業で相続関係のコンサルティングもしています。相続前の段階として、相続対策や認知症対策、その前段階になる介護予防などの重要性にもよく触れています。相談の経験も活かして分かりやすく書いてきますので、ぜひ参考にしてください。

Taka
相談を受けていると「あとせめて半年早く相談してもらえたら」と歯ぎしりする場面が多くあります。災害も認知症も相続も『幸せなうちの対策』が肝心だと身にしみて感じます

認知症対策や相続対策は、幸せなうちに

「ご両親に何かあったときの対策を」と聞くと、貴方はどう思いますか?
今両親とも元気なのに、そんな事考えたくない?
分かります。
私の両親も、有難いことに今元気に過ごしています。
「何かあったとき」だなんて、できればそんな悲しいことを考えたくはありません。
でも、災害と同じ。
起きてからでは遅いし、元気がなくなってからでは遅い問題も多いのです。ご両親からしても、自分に何かあった後に子供や孫が苦しむことは望んでいないでしょう。そこで、何も起きていない「幸せなうちに」対策をしておけば、今後の憂いを取り除ける場合もあります。具体的にできることとしていくつかありますが、このブログで紹介していくのは「認知症対策」と「相続対策」です。お互いの幸せのために、これから考えていくべきポイントを確認していきます。

もし両親が認知症になったら

65歳以上の4人に1人が認知症になる時代

一説によると、数年後には65歳以上の高齢者の4人中1人は認知症になるとのこと。
もちろん、そうならないための認知症予防が大切ですし
今さまざまな方法でそれが行われています。
しかし、「なった場合に備える」認知症対策もしておかなければなりません。

認知症になった場合に起きること

認知症と診断されると、具体的にどうなるのでしょうか。
介護にかかる肉体的・精神的負担については、報道でも取り上げられているので皆さんご存知でしょう。この辺りの負担については、お住まいの市町村にある「地域包括支援センター」に相談してみることをお勧めします。
ここで話題にしたいのは、「それ以外」のデメリットについてです。
認知症になった方の財産を守るため
認知症患者の法律行為に関しては「意思能力に問題があった」ということで、取り消せたり無効にできたりします。多くのケースで認知症の方を守ってくれる制度ですが、これがかえって家族を苦しめるケースも出てきます。具体的に見てみましょう。
銀行口座が凍結されます
凍結されるのは、自分から申告したケースだけではありません。何かしらの手続きを行っている際の仕草など、銀行側で認知症の症状に気付いて凍結されるケースも多くあるようです。認知症になると、介護費用などもかかります。口座が凍結されてしまうと、介護費用は少なくとも一旦は家族が自身のお金で賄うしかありません。自分も家庭を持っている場合など、家族からしても負担額は馬鹿にできるものではありません。
「家族だと証明して事情を話したら引き落とさせてくれると思ったのに」
といった声も、相談の中でよく聞きます。
しかし・・・身内や親戚の立場を利用して、認知症になった方の財産を不正に引き出してしまう不届き者もいますからね。嫌な世の中になったものですが、ここで世の中を愚痴っていても仕方ありません。しっかりと対策を立てて、口座を凍結された場合にも対処できるようにしておきましょう。
不動産の売買や賃貸借契約などができなくなります
お父様(お母様)が介護施設に入るために、住んでいた家と土地を売ろうとしても、登記上の持ち主がそのお父様(お母様)だった場合「本人の意思が確認できない」ため売買はできません。同様に、アパート経営などをしている場合でも、部屋が空いても新しい賃貸借契約が結べなくなるケースも出てきます。さらに、災害や老朽化などで実家の工事が必要になった場合も(払うお金がいずれ帰ってくるかどうかは置いといて)、本人の意思が確認できないとなれば、修繕の契約は他の家族がして、代金を支払わなければなりませんよね。

考えられる対策は?

いずれ具体的な記事にする予定ですが、考えられる対策も挙げておきましょう。
・家族信託
・生前贈与
・任意後見
・成年後見制度
今の段階では何を言っているのか分からないものもあるでしょうが、後日記事でひとつひとつ紹介していきます。ただ、それぞれに万能ではなく一長一短はあります。また、持っている資産の内容や家族構成・家族関係(良好か微妙か)などにも関わってきますね。ひとつ言っておくと、成年後見制度は「最後の手段」で、できればそうなる前の対策をしておきたいところです。理由はその辺りの記事を書いたときに説明しますね。

亡くなった場合、相続はどうなる?

次に、相続について考えていきます。
相続対策を考える前に、今回は相続の方法を確認しておきましょう。

相続人全員一致の意思が最優先

「えっ? ちょっと待って! 遺言があったら遺志に従わないといけないんじゃないの?」
という声も聞こえそうですが
「遺言の内容とは別の、〇〇という方法で相続する」
と相続人全員が同意すれば、それが最優先です。
たとえ有効な遺言があったとしても、それに従う必要はありません。
あ、その前に・・・
相続の世界では、亡くなって相続の対象となる人を「被相続人」
遺産を受け取る立場の人を「相続人」といいます。
「いやいや、配偶者が2分の1で子供が2分の1とか習ったぞ」
ひょっとして、法定相続分の話をしているのでしょうか。法定相続分とは、法律によって定められた、相続人ごとの取り分の割合をいいます。相続人の構成によってその辺の割合は
・・・なんて話はひとまず置いといて、それもまた最優先ではありません。
法定相続分での相続は「最後の手段」と思ってもらってもいいくらいです。
ここで挙げた中では
遺産分割協議書の内容>遺言の内容>法定相続分
と認識しておいてください。
「遺産分割協議書」とは「遺産の分け方に関する、相続人全員の合意書」という認識で良いかと思います。
つまり、兄弟姉妹のいる方はある程度の話し合いはしておいた方がいいよ、ということです。
揉める要素が無さそうなら、わざわざ今取り上げる必要ないかもしれませんが。
ただ、じゃあ遺言は意味がないのかと言われれば、答えは「NO」です。
だって、遺言を覆すためには相続人「全員の同意」が必要なんですから。
その辺りも含めて、いずれお話しましょう。

気をつけたい期限

相続放棄(3カ月)
中には、亡くなったご両親に借金があるなど、相続したくないケースも存在します。
もしもプラスの財産ばかりで、それを他の相続人に譲りたいのであれば、いちいち放棄の手続きなんてややこしいことをしなくても、遺産分割の話し合いで「自分は要らない」と宣言して他の相続人に認めてもらえばいいだけの話です(そこでひと悶着、というケースは・・今パッとは思いつかないですね)。
問題は、借金がある場合です。「いや、俺相続しないって相続人の間で決めたから、相続した奴に言って」という主張は、債権者には通用しません(債権者の了承があれば別ですが)。そのため、相続放棄という手続きが必要になります。
相続放棄は
被相続人が亡くなって、自分が相続人になっていることを
知った日から3カ月以内
に手続きをしなければなりません。
さて……相続放棄まで記事書けるかな。
この期間についても、もし書けたらそのときに詳しく紹介します。
準確定申告(4カ月)
亡くなった方が、収入があったなどで生前確定申告を行っていた場合、4カ月以内に「1月1日から亡くなった日までの収入について」確定申告を行う必要があります。相続人の中に確定申告に慣れた人がいないのであれば、これは相続専門の税理士さんにお願いするのも手でしょうね。
相続税の申告及び支払い(10カ月)
その前に
相続税は、相続財産が一定以下の場合は支払う必要はありません。
「基礎控除」と呼ばれる、その金額を確認しておきましょう。
基礎控除=3,000万円+相続人の人数×600万円
ちょっと例を挙げましょう。
お父様が亡くなられて、お母様及び(ご自身も含めて)きょうだい二人で相続する場合
相続人はお母様・貴方・兄弟姉妹の計3名になります。
つまり
3,000+3×600=4,800
相続する財産が4,800万円以下であれば、相続税はかからない計算になります。
これ以上になりそうなら、相続税の支払いの準備や対策もしておいた方が良いでしょう。
ただ、ここまで来たらもう専門家(相続専門の税理士さん)に任せた方がいいでしょうね。
相談料ケチって自分でやった結果、不足分を指摘されて修正申告なんてことになったら
立場によっては信用問題になりますからね(^^;)

今後のために今しておきたいこと

今回は、これから話していく内容について、事前に押さえておきたい事柄を紹介してみました。
対策は今後紹介していくとして・・・
今この記事を見て、とりあえずできることは何でしょうか。
そうなると「まず話し合っておく」というのが理想ではあります。
しかし、ご両親も「認知症になったとき」だの「死んだ後」だのという話題を露骨に出せば、いくら息子や娘の話とはいえ気分の良いものではないでしょう。そこで、将来の話として持ち出してみるのはどうでしょうか。たとえば、ご両親だけで実家にお住いの場合「この家や土地を将来どうしようね」という話を持ちかけても良いかもしれません。意味合いとしては同じことを言っていても、ワンクッション置けますよね。
ここでしておきたいのは、「今の財産をどうしたいのか意向を聞いておく」ことです。それが分かっているだけでも、物事の進みは違います(意外と揉めるポイントです)。
少なくとも、これから対策を紹介していくにあたって
「話せる空気を作っておく」
ようにしたいですね。
元気に、長く生きてくれることを願いながら
対策もしっかりと立てていく
これを今回の記事でのキーワードにしておきましょう。
これから、認知症対策や相続対策の記事もUPしていきます。
対策の参考にしていただけたら幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

-相続対策・両親の老後対策

Copyright© 1970'sブログ , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.