江戸時代に交通の中心となっていた東海道。松並木や宿場町などの光景はよく知られたものだと思います。今回紹介しているのは、その東海道で唯一の海路である、名古屋市熱田区から三重県桑名市までの「七里の渡し」です。前回は名古屋市熱田区の「宮の渡し」を紹介しました。今回は三重県桑名市にある七里の渡しの紹介です。
木曽三川を渡る
愛知発・史跡巡り、という題名でやっているので、名古屋方面から三重県に入るところからお伝えしていきます。ご存知の方も多いとは思いますが、東海道は現在国道1号線やその脇に「旧道」として残されていることが多い道です。本来、東海道五十三次を巡る形で旧宿場町を道なりに巡っていくのも面白いのでしょう。しかし、この海路だけは何ともなりません。そこで、この区域は現在の国道1号線を通って三重県桑名市に向かいます。
愛知県と三重県の県境には、木曽川・長良川・揖斐川の「木曽三川」が流れ、海に注がれています。ちょうどその近辺は標高が低く、水面よりも流域の標高の方が低い「輪中地域」として社会(地理)で学んだ記憶があるのではないでしょうか。
三重県桑名市へ
三重県に入り、大きな橋を越えたところで、川の流域沿いに左折していきます。それより前、桑名市は名古屋からも近く、遊園地や観光名所も多い地域として東海地区では知られた存在です。海産物や長餅など美味しいものが多くあるのも有名で、全国的にはハマグリは言葉になって広まっていますよね。
「その手は桑名の焼き蛤(はまぐり)」という言葉です。
七里の渡し公園
いずれ別編でも紹介しますが、この辺りは桑名城の城下町としても栄えた地域です。また、名古屋市熱田区の「宮の渡し」と違うのは、桑名城跡などと合わせて「大きな公園」となっているところです。その中のひとつ……という関係性で良いのでしょうか。七里の渡し公園がありますが、あまり区別せず散策していくのも良さそうですね。事実、今回訪れている間も、付近を散歩したりランニングしたりしている人とたくさんすれ違いました。
七里の渡し
公園の傍・川沿いを歩いていると、明らかに歴史を感じる佇まいが見えてきます。
蟠竜櫓(ばんりゅうやぐら)
まず目立つのが、蟠竜櫓(ばんりゅうやぐら)という建物。ここにあった看板の記載によると、桑名城には51個の櫓(やぐら)があったそうです。そのうちの一つがこの蟠竜櫓。七里の渡しを通ってきた人々にはよく目立つ場所にあったのでしょうね。当時はどのような様子だったのでしょうか。こうして昔の様子を想像するのも、史跡巡りの楽しみの一つです。
あと、現在は水門としても機能しているようですね。
七里の渡し跡
少し興ざめなことをいいますが……この松の木は当時あったのでしょうかね。「それらしい」といえばその通りなのですが、個人的には「取ってつけた感」が漂ってくるんですよね。あ、昔のままであれば本当に申し訳ない話ですが。
ただ、やはりこの雰囲気には惹かれるだけの魅力があります。以前活発に往来があった頃は、どんな風景だったのでしょうか。