実はこのブログでは「スポット紹介」などで何度か登場している松平郷。今回は「歴史好きスイッチ」をオンにしてお送りしようと思います。名古屋から身近に行ける、自然を満喫できる穴場として紹介していた松平郷は、徳川家康から続く徳川家の発祥の地でもあります。
松平郷までの道のり
名古屋市から国道153号線を豊田方面に走らせると、豊田市に入り、市役所を抜け、豊田スタジアムへと向かっていきます。豊田スタジアム手前からは国道301号線になりますが、むしろ国道153号線が途中で折れているので、進む道のりはひたすら真っ直ぐ・道なりです。
松平郷までの道は、山道を通りながらもここ数年で開け始めている印象があります。東海環状自動車道の松平インターができた影響も大きいでしょうね。比較的遠方から訪れる場合は、この松平インターを使うのも便利でしょう。
松平インターを抜け、以前はここから少し道を折れて国道301号線を進んでいたのですが、今はバイパスができてまっすぐ通過できるので楽です。個人的には旧道の雰囲気も好きなんですけどね。ただ今回は松平郷へひたすら進みます。
松平郷は、国道301号線沿いの左手にあります。大きな看板もあるので、安全運転で進めば見落とすことはないでしょう。駐車場は、空いていればそのまま奥に進んで東照宮近くに停めるのがお勧めです。
駐車場に車を停めて一歩外に出ると、そこは自然に囲まれた世界。昔から続く(いい意味で)田舎の原風景が広がる場所に引き込まれていきます。
松平東照宮へ
まずは、松平東照宮へと歩を進めていきます。東照宮の入口付近、鳥居をくぐるまでに池(堀)があり、鯉が気持ち良さげに泳いでいます。
鳥居をくぐって、まずは東照宮に訪問のご挨拶です。
東照宮。ご存知の方には当たり前の話ですが、祀られているのは「東照大権現」徳川家康公です。各地に東照宮がありますが、何かしら徳川家と関係する所に建てられたものがほとんどだと思うので、何気なく参拝していた方は少し歴史を気にしてみると新しい発見があるかもしれません。
この地は……徳川家の始祖・松平家が治めていた地ということで、東照宮が建てられています。
東照宮の横には資料館もあります。松平家にまつわる資料や、この地の歴史など、小さいながら十分な情報が詰まった施設です。……無料ですしね(^_^;)
東照宮の横道から裏手へ
東照宮に参拝を終えたら、すぐに鳥居をくぐって立ち去るのは勿体ないです。歴史好きなら……いや、ここはそうでなくても是非、脇の道を進んでみて下さい。
参拝のあと、そのまま振り返らず右手を見ると、脇に向かう通路が目に入ります。石で敷かれた道を少し進んだ裏手に、徳川家康公が生まれたときに汲まれたとされる「産湯の井戸」があります。家康は岡崎城で生まれたとされているので、ここからも岡崎城に水が運ばれた、ということなのでしょう。
これは正直なところ、見て「なるほど」でお終い。メインは……下を見て進むと分かります。
葵の群生
徳川家の家紋である三葉葵。歴史に興味のない方でも、水戸黄門などで何となく知っているのではないでしょうか。その元となっている植物が葵です。群生しているのは双葉葵。後から植えたものであったとしても、この地に群生していると威厳を感じる気がするから不思議なものです。
松平親氏像
東照宮の鳥居をもう一度くぐり、坂を上っていくところ。庭園のように整備されたところに建っているのが、松平親氏像です。松平親氏は、松平家の礎を築いた人物とされています。ここから徳川家康へと続いていく松平家にも、さまざまな出来事がありました。祖父も父も家臣に殺された家康……松平家もこの辺りでは力のある豪族であったとはいえ、全国的に見れば弱小と位置付けられるところから着実に力をつけていった、そのスタート地点に立っていることを感じてみるのも良いかもしれません。周囲の緑もまた綺麗な場所です。
高月院へ
更に坂道を上っていくところ。見渡せば田舎の原風景が広がっています。小川のせせらぎや池、田んぼの様子、そして周囲を囲む山の緑。庭園には水芭蕉や菖蒲など、季節に合わせて花が咲いています。その先にある門が高月院の入口です。
この山門は、江戸幕府三代将軍・徳川家光の時代に建てられたものとされています。高月院は松平家……その後徳川家の菩提寺で、江戸の世でもその存在は重要視されていました。
山門をくぐったところから続く道。高台にあって見晴らしの良い場所です。ビルなどのない風景、昔の人もきっと同じような景色を眺めてきたのでしょう。あるいは、始祖からの当主だけでなく、徳川家康や将軍家もこの地を訪れて眺めた風景かもしれません。
高月院の境内。大きな足跡など目にしながら……中の建物も風情を感じますが、お邪魔せず参拝のみして付近を散策させていただきました。
「元信公お手植えの木」もあります。写真に撮ったはずですが……咲いている花を見てわかる通り、過去のことなので忘れました(^_^;)
ちなみに元信というのは、徳川家康の元の名前。幼名の竹千代から松平元信、元康、それで家康……だったかな。途中飛んでいるかもしれませんが、お許しください。
松平郷の魅力
歴史的価値も大きな松平郷。史跡としても多くの魅力を感じる場所です。また、この地もここまで紹介してきた史跡と同じく「当時のまま」が残っているのであろうと連想できる、「人の恣意が入っていない当時の風景」が端々に見えます。
もちろん、昔と比べて塀が新しくできるなど、多少の作為はありますが、それでも原風景を邪魔しない「思いやり」は十分感じられます。
四季を感じる場所としても、個人的には好きですね。観光地もそれはそれで魅力ありますが、紅葉や新緑の最盛期にもゆったりと歴史を感じながら歩けるこの場所は「故郷」を感じるような気分になります。